CAD設計者が3Dモデリングに挑戦した感想【機械から生物へ】

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こんにちは。

私は本職で機械設計を10年ほど経験しています。設計はもちろんCADを使用して、モデリングや検証、解析等を実施している日々です。

いつもモデリングしているのは、機械なので無機質なものばかりです。主に四角い形状を組み合わせて製品が出来上がっていきます。

特にデザインセンスがなくてもそれなりに形ができるので、面白くはあるのですが、さすがに10年もやていると、若干飽きてきます。

ものづくりの面白さはありますが、毎日同じものなので目新しいものに挑戦してみたいなと思っている、設計者も多いのではないでしょうか。

別のものを形にしたい…そんな思いから、私は3Dモデリングに挑戦してみました。

3DCADもある意味3Dモデリングなのですが、ここで指すのはもっとラフに柔軟なものです。

例えばこんなモデル。

youtubeにあった解説動画で最初にまねしたものです。
機械設計者なら絶対に作らない、寸法では表現できないような形状が表現されています。

今までコテコテの無機物を設計してきた、我々にとっては全く異次元の難しいものと最初は感じますが、意外にやってみるとそこまで時間をかけずにできてしまいます。

3D空間に慣れているからでしょうか??

実際私は1か月もかからず、形を作る「モデリング」、表面デザインの「テクスチャ」、モデルを動かす「アニメーション」、さらにはVR空間へのアップロードまでチュートリアルを通して経験することができました。

正直普段の設計のような、「性能満たさなければならない」という枷が無いのでハードルは低いように感じます。

ではいつもCADで設計をしている技術者が、3Dモデリングに挑戦して何を思ったか、また3Dモデリングは大枠でどのように出来上がっていくかを紹介していきます。

記事を読んで少しでも興味を持ったあなた! ぜひ触りだけでも挑戦してみてください。

目次

3Dモデリングとは

今時3Dモデルを見たこと無い方はいないと思います。

有名どころだとゲームですね。最近だとコロナで外にも出れなのでVR空間なんかも熱いです。
VR上でほとんどの時間を過ごすなんて人も、出てくるかもしれません。

椅子や机、食べ物、人なんでも作れてしまいます。クオリティはそれぞれですが、時間をかければかけるほど、現実に近くなっていきます。

そんなモデルを自由自在に作れたら面白そうじゃないですか?
まるで魔法です。

そんな3Dモデルは技術的にざっくりいうと、どういうものか最初に解説しましょう。

3Dモデルの中身

3Dモデルとは何者なのでしょうか?

簡単に言うと、細かいメッシュが合わさってできてる仮想の物体です。

そのメッシュに、テクスチャと呼ばれる表面に描かれる絵のようなものを貼って、それっぽく見せています。要は3Dモデルとは模様が描いてある薄っぺらい平面の集合体です。

なので、中を割ると空っぽです。なぜなら面の集合体だから。

つまり面を上手く立体的に組み合わせて、3Dの形にしているのが我々がよく見る3Dモデルです。そこに絵を描いて、それっぽく見えるようにしているだけなのです。

簡単に言うとペーパークラフトと同じです。

しかし、もしあなたが3DCADをいじっている設計者であれば、一つの疑問が生まれます。

なぜ空洞なの?中を埋めちゃえばいいじゃん。

私もそう思いました。3DCADのモデルはソリッドモデルと呼ばれ、中身が充填された物体として扱っています。

しかしゲームなどの3Dモデルには中身はありません。なぜかというと中身があると非常にデータとして重いからで。

3DCADなどはちょっと大きいモデルを描くと、ソフトがカクカクになって動作速度が急激に落ちますよね?

しかしゲームではオープンワールドなど、広大なモデルの塊でも快適に楽しむことができます。
一つ一つのモデルはテクスチャできれいに見えても、データ自体は軽いのです。

では逆に3DCADも中身無くてもいいじゃん思いますが、そうはいきません。

なぜなら物性が必要だからです。

分野にもよりますが、CADで3Dモデルを作成したら強度解析など実施しますよね。
面だけだと、現実に近い計算ができないので常日頃中身があるモデルを作成する必要があったのです。

同じ3Dモデルでも用途によって、ここまで違いがあるんですね。
面白い世界です。

3Dモデルの作り方の大枠

では3DCADではない、3Dモデルの作成の大まかな流れを説明します。

3DCADだと平面を描いて、その形に形状を押し出したりカットしたりしてモデルを作成すると思いますが、そうでない3Dモデルだと全く違うアプローチをします。

機械的な形状は似たような方法で作成されますが、人間など曲線が複雑なものはちょっと違います。

まずハイポリゴンと呼ばれる平面が非常に細かいモデルを作成します。

ハイポリゴンのモデル作成方法は様々で、3Dスキャンでデータをとったりスカルプティングと呼ばれる、ペンでなぞったとこを隆起させたりへこませたりして作ったりします。

スカルプティングモデル

これらのモデルは面が多くないと作れないので、どうしても最初はハイポリゴンになってしまいます。

ハイポリゴンのモデルを作ったら次に、ポリゴン数を減らすリトポロジーと呼ばれる作業をします。


ハイポリゴンのままでも良いのですが、実運用するにはデータが重すぎるのと、この次に実施するテクスチャを貼るときに面が細かいと、作業が膨大になるのでリトポロジーが必要になります。

やり方は単純で、ハイポリゴンの上から地道にぺたぺたと大きな面を貼るだけです。
私はこれ結構好きです。

お酒飲みながら、ポリゴンぺたぺた貼る作業は最近のマイブームです。(笑)

ハイポリゴン
ローポリゴン

リトポロジー後は、各面に色を塗ったり絵を描いたりできるので自由にデザインします。
モデルに直接描くこともできるし、展開図を作りペイントソフトを用いて描くことも可能です。

ちなみに私は絶賛絵の勉強中であり、まだまだ上手く書けません。

テクスチャ作成後

ざっくりモデルの作り方はこんな感じです。

あとは骨を入れてアニメーションを追加して動かすこともできます。
正直アニメーションは決まった動きであれば、マニュアル通りやればできるのでそこまでセンスには左右されないかなと思います。

まとめるとモデルの作り方は以下の2通りですかね。

  • メッシュで形を作る ⇒ テクスチャ
  • ハイポリモデル作成 ⇒ ローポリモデル作成 ⇒ テクスチャ

初心者は前者のやり方で、まずは操作を覚えると良さそうです。

機械設計者が触ってみた感想

今まで3Dに関しては、CADでの設計しか関わってきませんでしたが、実際3Dモデルを作成してみた感想を紹介します。

私が体験したのは、無料のモデリングソフトBlenderです。

ほぼ何でもできて、無料なんてすばらしいソフトです。CADは年間何万円取ってるんですかねえ。

きっちりしたくなる

3DCADでモデルを作成するときは、辺一つ一つに明確な寸法を指定しながら作成します。

Blenderでは、このくらいかなーといった感じで大体の寸法でモデルを作成します。

最初はここに抵抗がありました。

モデルを押し出すときに、寸法を打ち込みたくなります。各パーツの隙間等も統一したくなります。
しかし実物を作るわけではないので、そんなことする必要はないのです。

大体のモデルは、画面上で動かしたり鑑賞するのが目的となりますので、大体の大きさが合っていれば細かいところは気にする必要がありません。

要はそれっぽく見えればそれでいいのです。

そう考えると、きっちりした性格の人はちょっと合わないかもしれませんね。笑

ただ今まで神経を尖らせていた寸法の呪縛から解放されるのは気持ちが良いので、子供の頃自由に落書きをしていたような、好き勝手に作り上げる楽しさを思い出せるはずです。

自由度が高すぎる

3DCADではできない表現が、Blenderであれば簡単に作ることができます。

例えば布のような、寸法では表現できないふわふわしたものはCADで描こうとしても出来ない方も多いと思います。私もぱっと思いつきません。

人間みたいな曲線で表される物体もそうです。

Blenderであればそういうものをかんたんに作り上げることができるので、CADで諦めていたモデリングができてしまう感動を覚えるはずです。

ついでにアニメーションも変形を含めて作ることができてしまいます。

あとは、テクスチャ表現もCADではあまり使わない機能です。

3DCADだと、モデル毎に色分けをするくらいしかしませんが、テクスチャをこだわると金属にしか見えない表現等も簡単に出来てしまいます。

ここまで来ると、3DCADで作ったモデルをエクスクスポートして、展示会用のモデルとか作れば仕事の幅さえ広がりそうです。

3Dモデルの練習にもなるので、ちょっとやってみようかなと思います。

CADとは一長一短の関係

ここまで聞くと、Blender等の3Dモデリングソフトの方が上位互換に聞こえますがそんなことはありません。

実際Blenderで機械設計しろと言われても、多分出来ません。ラフをなんとか描けるかな?程度です。

やはりCADは、やり直し機能だったり数値計算、製造面の検証ができるモデリングに特化しているので、そこが最大の長所ですね。

逆にBlenderは、モデルを見せるという部分はCADを凌駕してます。

CADを使う設計者は、両方使えると貴重な人材になれるかもしれません。

考えるだけで、ワクワクしますね。

興味を持ったらなにからすれば?

まず最初はBlenderのインストールです。

>>Blenderダウンロード

完全に無料なので、挫折しても痛くも痒くもありません。まずは今すぐダウンロードしましょう。

次にやることはチュートリアル動画を見ながら、真似して何個かモデルを作ってみてください。

2、3個作れば誰でも大体の操作は覚えられます。

ただ一つ注意して欲しいのは、Blenderのバージョンです。

2021年1月現在ではバージョン2.9ですが、2.7と2.8では仕様がガラッと変わったようなので、2.8未満のチュートリアルを見てしまうと、ついていけなくなってしまいます。

参考にする動画を決めたら、バージョンはかならず確認するようにしましょう。大抵は動画のコメント等に書いてくれています。

チュートリアルやれと言われてもどれがいいの?と思う方いると思います。

なのでいくつかおすすめもご紹介しておきます。

一つ目はこちら。

かぼちゃのアバターを作って、VRChatで動かすまでのチュートリアルです。

しつこいほど丁寧に解説してくれているので、挫折する方が難しいレベルです。

まずはこちらをハンズオンで学習してください。モデリング⇨テクスチャ⇨アニメーションまで一通り体験できます。

次におすすめが有料になりますが、Udemyで出しているこちらの学習動画です。

UdemyのおすすめBlender講座

モデリングの基礎はもちろんのこと、簡単なスカルプと、理トポロジー、詳しいアニメーションまでを学習できます。

ここまで見れば3Dモデリングの大枠は体験できます。

無量動画も含め色々試しましたが、この二つの動画で勉強するのが最強だと思います。

真似するだけなので、ぜひ試してみてください。

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